ノエル、といえばフランス語でクリスマスのことです。
フランスは歴史的にはカトリックの国ですからノエルは1年で一番大切な日です。
教会の前ではこんなノエル市が1ヶ月間毎日開かれ、フランス各地のジャムやケーキ、手編みの帽子や手袋、果物ゼリー、クリスマスカードを売っています。
どこでも毎年かならずこんな木作りの小屋で、可愛い佇まいに思わずのぞきたくなります。
12月24日、この日は祝日。
夜まで肉類は口にせず、また殆ど食事をとらない人もいるくらい、日中は食べ物をあまり口にしません。
明日まで様々な行事があり、なんとなくソワソワと、静かなような少し緊張するような一日の始まりです。
そして午後遅くに家族や親しい友人達が集まり、夜10時頃からのミサのために教会に行きます。
12月だけは教会の中は「クレイッシュ」と呼ばれる陶磁器の人形や絵でキリスト誕生を表した飾りをおいています。
字の読めない人が殆どだった19世紀以前、聖書を目に見えるように表したのが始まりでした。
そして永遠の緑、つまり命を表すもみの木へ、吹きガラスの様々な色の飾りや星の形の伝統的な飾りつけをします。
人々が絶え間なく灯し続ける蝋燭の光であふれる教会の中は、ステンドグラスをてらし荘厳な雰囲気には信者ではなくとも心が洗われるようです。
ミサは2時間ほど。
神父様のお話、賛美歌、お祈り・・・教会によってはバッハの聖歌コーラスやクラシックコンサートをする所もあり、この日ばかりはいつもは観光客で一杯の有名な教会でも静粛な雰囲気につつまれています。
ミサが終わるのは真夜中、そのあと家族や友人と夕食を共にします。
「ジュワイユール・ノエル」
クリスマスおめでとう、とこれからの1年の幸せを願って祈りを捧げ食卓につきます。
この日は眠るのがとても遅くなりますが、冷たい真冬の夜の外出はかえって身の引き締まる思いで、1年が過ぎようとしているのが感じられます。
翌日の25日は楽しいお祝いの日。
子供達はプレゼントが待ち遠しく、大人同士も自然に笑顔が溢れます。
パリの街道で寝起きする「クロッシャー」と呼ばれる浮浪者たちも、この日ばかりは教会や慈善会の用意した食事でノエルの日を過ごします。
冬、パリの人々の慈悲の心は、クロッシャーが寒さで凍えないように終電のあとでもメトロの入り口を開けたままにしています。
来年が良い年になりますように、、、と、フランスの25日は1年をあらためる日です。
日本のお正月のように、1年でもっとも大切な行事です。